緑の丸のロールセンターAが元のロールセンターで、オレンジの丸のロールセンターBがトレッドを広げた際の、ロールセンターです。
図は解りやすくするために大げさにトレッドを広げていますが、実際に方向性としてはロールセンターを上げる方向になることが分かりますね。
トレッドを広げる方法は色々ありますが、理想的なのは好みのオフセットのホイールを、ワンオフで作ることでしょうか。
逆に、一番安いのは、ワイドトレッドスペーサでしょう。
それも、ボルト付きではない薄い物ですね。大体1500円もあれば、量販店で左右1セット買えます。
ハブボルトがノーマルだと、実質選択肢は、5mmか3mmになると思います。
ただし、3mmの物は、物によっては割れる事が有るそうなので、セッティングが決まったら良い物を選ぶことをお勧めします。
それ以上厚い物を入れるには、ロングハブボルトに打ち替える必要が有りますが、ディーラーでやると、工賃が一か所15,000円と結構高いですね。 左右で30,000円、4輪だと60,000円です。
S2000は
他の車種と違って、ボルトを打ち替えるにはアーム類を外さないといけないため、高くなるそうです。
また、ボルトを外す際にハブベアリングが破損することも有るそうで、結構大がかりだそうです。
アームを外すので、当然アライメントも取り直しです。 もしベアリングを破損したら買わなければならないし、結構値が張りそうですね。
ここまでやるのなら、いっそ好みのオフセットのホイールに代えた方がいい気がしてきますね(笑)。
他に、ボルト付きのワイドトレッドスペーサと言う選択も有りますが、純正の16インチホイールだと、裏にボルトの「逃げ」が無いので、25mm以上のスペーサを選ぶか、あるいは純正ハブボルトを切断すると言う事になりますね。
ネジ屋さんの話では、ボルトの長さは径と同じだけあり、噛んでいれば大丈夫なように作ってあるそうですが、ちょっと残り10mmとか15mmしか残らないボルトカットは心配です。
また、ボルトを切ってしまうと、もしもフィーリングが悪くて、スペーサを外そうと思っても後戻りできません。
逆に、ボルトをカットしなくて良い25mm以上となると、今度はオフセットがリアだと40以下となり、フェンダーと干渉するでしょう。
よって、最低でもツメ折り、もしくはフェンダーの加工が必要となりますね。
余談ですが、
結構何の躊躇もなくツメを折る人が多いようですが、このページで何度も言っていますが、純正品がやっていることには全て意味が有ります。
ツメは、フェンダーの剛性を上げるためにわざと付けてあるのです。これを取ってしまうと、ちょっと強くフェンダーを手で押すと、ボコッとフェンダーが凹む可能性が有りますし、走行中に力が掛かり、凹むこともあるそうです。
まあ、S2000ではあまり無いのかもしれませんが、フェンダーの面積の広いミニバン等では、実際にあるそうです。
S2000では凹まずとも、やはりフェンダーが「コ」の字だった物が、単なる板になるので、微妙に変形したりチリがズレやすくなる可能性は有りますね。
(気にしない人は気にしないでしょうが)
よって、ツメ折りにもそれなりの覚悟が必要かと。
こうなると、非常に選択肢が小さくなり、5mm以下のスペーサを入れるのが一番、手軽で安心で安いですね。
気に入らなければ、外せば完全に元通りです。 査定も下がりません(笑)。
さて、詳しい理屈とインプレは別途どこかに書く予定ですが、その効果は絶大で、5mmでも強烈に効きます。
ただ
次に、もしもロールセンターが地面の中にあるような車では、下図のようにトレッドを広げると逆にロールセンターが下がってしまいます。
これも分かりやすくするために、極端な例としています。
まあ、このケースはキャンバーが0ですが、実際にS2000のアライメント調整でこのようなセッティングが出来るどうかは分かりません。
ただ、このようなセッティングの車は作ってはいけないでしょうね。
厳密に言うと、トレッドを広げるとロアアームのレバー比が変わったのと似た効果が生じるので、バネレートが微妙に下がることになりますが、5mm以下ならば、それによる車高ダウンは無視できる程度だと思います。
バネレートにもよると思いますが、もしも車高が下がったと思ったら、上げてやればオッケーですね。
(トレッドや足廻りの詳しい話は、また改めて書く予定です。)
以上、ロールセンターを上げるためのもう一つの方法でした。