スポーツカーについて思ふ事


最近では、スポーツカー、ピュアスポーツカー、スポーティーカー、レーシングカー、21世紀の次世代スポーツカー、、、
などと、スポーツカーについて、色んな言葉が使われていますねぇ。
まあ、スポーツカーに付いての定義なんて、考えは人それぞれだし、どれが正解だ何て無いのかもしれませんが、私なりのスポーツカーについての考えをちょっと書いてみます。

私は、スポーツカーとは、スポーツする為の車、だと単純に考えています。
スポーツする為の車かぁ…。フム。
スポーツとは、普通は己の「心と技と体」を鍛え、それを競うもの。だと思っています。
例えば、世界最大のスポーツの祭典である、オリンピックの種目になっている競技も、その精神にのっとっていると思います。
それは、陸上競技にしろ、水泳にしろ、球技にしろ、柔道にしろ、格闘技にしろ、その基本精神は変わらないと思います。
そして車などの原動機を使ったものは、モータースポーツと呼ばれていますねっ。
これもその精神にのっとって考えてみると、モータースポーツや、スポーツカーの本質が見えてくるような気がします。

私が思うに、モータースポーツというのは、恐らく最も複雑な機械を、道具として使用するスポーツでしょう。
車は、アーチェリーよりも、射撃よりも、競輪よりも、スキーの道具よりも、ずっと複雑な機械です。
ただ私は、道具を使用して、鍛え上げた「心と技と体」を競うには、できる限りその「心と技と体」の差が出るような道具にするべきだと思います。
そして、その道具はできる限りその目的に特化され、その目的のみのために作られるべきだと思います。

まず、「心と技と体」の差が出る道具にするべき、と言う話についてですが、、、
最近、私は特に思うのですが、「電子制御」と言う名のコンピュータが、それを非常に邪魔している気がしてなりません。
コンピュータを始め、昨今のIT技術の進歩は目を見張るものがあります。
今や、例えばチェスの世界では、世界チャンピオンでもコンピュータには勝てません。
飛行機も自動操縦が当たり前で、ミサイルもコンピュータが数千キロ離れた所から誤差数メートルの精度で命中という、人間には不可能な技術を身に付けています。
それもそうですねぇ。 一秒間に何十兆回以上も計算できるものに、人間が計算能力で挑むのも分が悪いと言うものです。

つまり何が言いたいのかというと、「スポーツ」と名がつく世界に、その道具として、コンピュータだけは入ってくるべきではないと思うのです。
そうでないとスポーツは、人間の「心と技と体」を競うよりも、コンピュータの技術を競う事になってしまうと思うからです。
これは個人的な考えですが、遠くない未来には、ドライバーが乗っていない方が速いモータースポーツの時代が来てしまうと思います。もちろん、ラジコンのような、操作もしません!
そんなバカなー!? と思うかもしれませんが、高精度なGPSに、パトリオットミサイル等に装着されているカメラ、パターン認識装置に、加速度センサを始めとした各種センサー。そして、それらの膨大な情報を一瞬にして処理できる、スーパーコンピュータをピットにおいて、リモートでシフト、ハンドル、ブレーキなどの操作を行う(現在のフライ・バイ・ワイヤー(電子スロットル)のように、モーターを使う)物が出てきたら…。

センサーと言えば、私は昔、加速度センサのソフトを開発していた事があるのですが、最近の加速度センサーってのは、100mの距離で、1mm上っている傾斜も感知できるんです。
そんなGの感知は、人間にははっきり言って不可能です!!
しかも、コンピュータはミスをしません。
全く、タチが悪いです。
そのうち、プログラマーが、サーキットごとにプログラムをし、データを入れ、無人の車を走らせて、ピットで皆が居眠りしているうちに、ぶっちぎりのコースレコードで優勝なんて時代になってしまうかもしれません。
でもー、、、それってスポーツですか??(笑)

例えば、アーチェリーやクレー射撃で、自動照準を搭載しようなんて考える人がいますか??(笑)

もう言いたい事はわかりますよね。
最近は、市販車だけでなく、レーシングカーにも電子制御と言う名のコンピュータが入り過ぎています。
F1ですらそうです。例えば、どうして2ペダルにしたんでしょうねぇ?
シフトミスするのも、回転数を合わせるのも人間の技術のうち。ABSだって、ロックコントロールするのが技術のうち。
衝突安全の為のボディーなどはともかく、ドライバーのミスや負担を減らすための制御って、他のスポーツでそんな話は聞いたことが無いでしょう。それこそ、「心と技と体」のうち、「体」はスポーツの重要な要素ですから。

そして最近の市販車でも同じく、電子制御がとてつもなく増えてきています。
ABSはもちろん、トラクションコントロールや、スタビリティーコントロールは当たり前。更に、横滑り防止装置やら、4輪独立のストローク感応型ABS、更には、曲がりきれない時にはハンドルを切り足せば、コンピュータが自動的にブレーキをかけて減速して曲げてやったり…。
2ペダルのシーケンシャルマニュアルに至っては、人間には絶対に不可能な、自動高速シフトアップや、100%の確立で、ドンピシャ回転数が合わせられるシフトダウンや、自動ヒール・アンド・トゥー。
このように、ドンドン人間がやる要素を減らして行くってのは、スポーツの精神からは離れていっている気がしてなりません。


そしてコンピュータの介入以外のもう一つの重要な要素は、スポーツに使うための道具が、他の目的を持っていると言う事です。
例えば野球のバットは、野球の球を打つためだけに作られているわけで、買い物袋をぶら下げる為のフックなんて、当然付いていません(笑)。
スポーツカーも、スポーツと名づける以上は、基本的に走りに必要な物以外は、付けないに越した事はないはずです。
ただ、市販車ということでは当然法律もあるでしょうし、公道を走るわけですから、最低限の装備は必要なのは当然でしょう。例えば、トランクや、助手席、エアコン、オーディオ、触媒、衝突安全ボディ。
この辺は公道を走る以上はまあ、必要かなーって納得できます。
しかしながら、4ドアや、広いリアシート、背の高いボディー、ゴルフバックが入る大きなトランク、広い室内空間に多くの収納場所、それらを確保するために、 前に追いやられたエンジンレイアウトに、重くなったボディー。
大きな空気抵抗に、大きな全面投影面積。
これらは、走りを追求していく上で、ネガにしかならないと思います。
まあ、普通の車をスポーティーな方向に味付けした、スポーティーカーと言うのなら解りますが、これらをピュアスポーツカーと言うのには抵抗を感じます。(ちなみに、メーカーの開発者は、絶対にそれらをスポーツカーとは呼ばないみたいです。)
勿論、競技専用の車ではないので、有る程度は仕方ないと思いますが、あまりに走行性能上不利なパッケージ、レイアウトのスポーティーカーを見ると、まさに、バットに買い物袋のフックが付いていると言うよりも、買い物袋をかける棒で、野球の球を打っているって感じてしまいます(笑)。
まあ、不愉快に思う人もいると思うので、この話はこの辺で…。

ああ、一応念のため、そういう車が悪いとか、嫌いだとか言っているのではありませんよ。良く言えば、車としての実用性と、スポーツ性のバランスが取れている、といった解釈もできますね。
ただ、そういう車ばかりになって、ピュアスポーツカーが無くなるのは寂しいので、そのようなスポーツカーも、消費者の選択肢として持たせてもらいたいなって感じです。

長くなりましたが、私の考えるスポーツカーを簡単に言うと、

「できる限り走行性能を第一に設計、追求した車で、かつ電子制御が入っていなく、よりドライバーの技能の差が出る車」

といった感じでしょうか。

その結果として、スポーツカーは速い車となると思いますが、私は上記の通り、絶対的な速さがスポーツカーの条件だとは考えていません。
とにかく、操る人間の技能の差が顕著にでるのが、スポーツカーの絶対条件だと思います。
結果として、それは素人には性能を出しにくい、乗りにくい車になるかも知れません。
でも、私はそれでいいと思います。
例えば、プロ野球選手のバットは、初心者には重たくて振れないかもしれません。 だったら始めは軽いバットを選べばいい、というような考え方で…。

上級者が運転すると、ツボにはまったようにすごい走りをするのに、初心者はコントロールするのが難しく、とても乗りこなせない。 そんな車が有っていいと思います。
誰でも、安全に速く走れる車を作っていくと…。
スポーツからは離れた、何だかつまらない世界になっちゃいますねー。

ただ、時代は明らかにそっちの方向に行っています。
良く、今年は沢山の次世代ニュースポーツカーが目白押し、何て聞きますが、私はついに本当の意味でのスポーツカー離れが始まったのかと思っています。


以上、戯言でした…。
 

Dec, 2007
Writetten by E.T


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