メーター読みはどうして速いの?


えー、かなり久しぶりの記事の更新になってしまいましたね。

さて、車のスピードメーターの表示は、実際の速度よりも速めに表示されるのは有名な話しですね。
実際にGPSのスピードメーター等と比べると、確かに速めに表示されるようです。
これはなぜなのでしょうか??

まあ一般に言われているのは、「安全のために、わざとその様に作ってある」ですかね。
殆どの車では、スピードを出せば出す程、実際のスピードとメーターのスピードの差は大きくなるように作ってあるようです。
スピードを出し過ぎないようにするための、工夫なんでしょうかね?

しかし実際には、これ以外、つまりメーターの性能以外にも理由が有ります。
なぜか私は、一度もその理由を見た事が無いんですが…。(どこかに書かれているのかな??)

あ、もちろんタイヤが減ってくると外径が変わるので、メーターは速めに表示されます。
8mmも減れば、かなり変わるはずなので、自分の車のタイヤの外形から計算してみると面白いと思います。
まあ、これも有名ですかね。

ただ今回は、車が全く同じ条件でも、メーターのスピードが速く表示されるケースと、その理由についてちょっと書いてみます。

メーターのスピードが、実際のスピードより速く表示されやすいのは、「曲がっている時」です。
スリップアングルを意識するに詳しく書きましたが、曲がっている車のタイヤには、スリップアングルと言う物が存在します。
つまりタイヤが回転している方向と、実際に進んでいる方向にはズレが有る訳ですね。
しかしスピードメーターは、そのズレなど考慮していないので、純粋にタイヤの回転数から計っています。
よって実際には、タイヤの回転数にスリップアングルを補正した物が本当のスピードになりますね。

ちょっと図を書いてみましょうか。


図1 回転方向の速度と進行方向の速度

図1より、回転方向の速度をVt、スリップアングルをθとすると、進行方向の実際の速度Vfは、

Vf = Vt cos
θ   … 式1

となりますね。 簡単な高校数学です。
これは、前輪からスピードを測っていようが、後輪から計っていようが同じです。
曲がっている時には、後輪にもスリップアングルが付きますからね。

例えば、ラジアルタイヤの最適なスリップアングル、20度の時に、タイヤの回転方向(メーター読みのスピード)が100Km/hで走っている時には、
100×cos (20度) = 100×0.94

なので、実際のスピードは94Km/hとなりますね。

また式1より、スリップアングルが大きくなるほど実際のスピードと、メーターに表示されるスピードはズレてくることになります。
よって、前輪からスピードを計っている車であまりコジる様な運転をしていると、実際のスピードよりもかなり速い方にズレて表示されることになりますね。

例えばメーター読みのスピードが100Km/hでも、スリップアングルが30度だと86Km/h程度、40度だと76Km/h程度が本当の速度です。
FF車で アンダーステアが出ている時に、意外とスピードが速く表示されている経験が有る人もいるのでは??
メーター表示ではスピードが遅くても、スリップアングルが小さい時の方が実際のスピードが速い何て事は、良くあるはずです。

そんな訳で、コーナリング中のメーター読みのスピードは、色んな要素を考えて、参考にした方が良いでしょう。


以上

Back        Top