ハイパコスプリング

27,000Km走行後に、OHLINS純正のバネがヘタって来たと感じたので(車高が落ちてきた)、車高調のO/H時に交換。
タイヤをRE-01RからRE-11に変更して、グリップが上がったのと、ワイドトレッドスペーサでレバー比が若干大きくなったので、
バネレートを1Kgアップとした。 タイヤと、5mm以下のスペーサだけでは1Kgアップで十分とういう判断。
バネレートは、F10.7Kg / R8.9Kg。 バネレートの数値が中途半端なのは、元々はポンド表記のため。

さて、早速走行インプレだが、バネレートからは想像できないほど、突き上げ感が無く、乗り心地が良い。
純正よりも確実に突き上げ感はない。 また、特に路面追従性が秀逸である。
普通はダンパーの減衰力を柔らかくすれば路面を追従はするが、バネを減衰しきれないところでは
ボヨンボヨン挙動が出て不安定になるし、減衰力を硬くすればボヨンボヨンはしないが、路面追従性はどうしても落ちる。
が、このバネはダンパーの力が及ばない領域でも、うまい具合にバネ自体が減衰力をフォローして、
これらを両立できるように働いてくれている感じである。

OHLINS標準のアイバッハ製のバネよりも、縮む手応えが有る柔らかさを持っている感じである。
ブレーキで例えれば、初期で効いて、奥でも効くブレーキの様な感じで、バネが初期から奥までしっかりと、縮む感触がある。
リニアと言えばそう言う表現も適切だろう。
むしろ、いかに純正やアイバッハ製がリニアでなかったのかが判ったという感じ。
縮み方が自然で、まるでゴムマリが縮むよう。 でありながら減衰性も良く、ボヨンボヨン感はない。
同じダンパーに付けたが、一言で言うなら、バネの自由長が長くなった感じである。
逆に言うと、硬くて縮み感の無いバネと比べると、クイックさや、ある種のカート的なスポーティーさは無い感じ。
おもちゃっぽくなく、ストローク感があって欧州車的な感じだ。

具体的には、イン側の接地感が有り、トラクションが強烈である。
以前と比べて スライドさせにくく、またスライドを継続させるのが難しいほど。
初期からバネレートが出ているのは、イン側の伸び時に効果が有るのだろう。
また、ブレーキング時にもストローク感が有って、非常に車の姿勢が安定しているし、
接地性が良いのでABSが誤作動しにくく良く止まる。
例えば減速帯に向かって、フルブレーキを踏む様なシーンでも、安心感が高い。

だが、バネの自由長が短く、硬くて縮み感が無く、荷重が乗らずにパキンパキンと曲がるフィーリングの方が、
スポーティーと感じて好きな人もいると思うので、この辺は好みが分かれるかも。
ただ、「バネ」という部品としては、優れていることは間違いないだろう。
どこまで縮んでも、「バネ」って感じ(笑)。


総評して、OHLINS DFVとハイパコの組み合わせは非常に強烈で、本当にネチッコイと言えるようなトラクションを繰り出す。
良く私は、「ゴキブリホイホイの上を走っているようだ」と言っている(笑)。
スライドの収まり時もスッとフェードアウトする感じで、路面が悪くても躊躇なくスライドさせられる。
S2000特有の、ロールのお釣りのボヨンボヨン感が皆無となった。

ハイパコの噂は沢山聞いていたが、うーん、確かに憎らしいほどに素晴らしい(笑)。
また個人的に気に入っているのは、ハイパコのマニュアルの注意事項には、「ヘルパースプリングの様な物を付けるな」と書かれていたこと。
つまり、ツインスプリングにはしないようにと書いてあった。(今ではヘルパースプリングも売っているようだが)
これを付けてしまうと、せっかくのバネのリニアさが失われてしまうとの事。
また、どうしても付ける際には1Gの状態で、ヘルパースプリングが完全に線密着しているようにすること、と書いてあった。
つまり、1Gではヘルパースプリングが鉄の棒になっている状態である。 これならば、確かに縮み時にはレート変化はない。
この辺の注意事項が、非常に論理的に筋が通っている。

スプリングレートのリニアさを売りにしているのならば、これは当たり前のことなので説得力がある。
とにかく車のパーツは、他のパーツを沢山売るために論理矛盾している事が多いので…。
この注意事項からも、ハイパコが真剣に開発して、売り文句に一貫性があり自信が有る事が感じ取れる。

また更に、バネに永久ヘタリ保障が付いているのも有難い。 もしもヘタったら無償交換である。
工具の”スナップオン”のバネ番みたいなものかな?
確かに価格は高いが、長く使うのであれば結果として安いかも。


注意事項:
ハイパコの広告を見ると、初期からレートが出ていると書いてあるが、普通は1Gの状態で
その初期の分は縮んで使ってしまっているはずである。
よって初期のレートは、ロールした時の内側のタイヤや、フルブレーキング時のリアタイヤなど、
荷重が抜けているタイヤにこそ生きると考えた方が良いだろう。
それらは、強烈なトラクションに結び付くものであるが、乗り心地が固くなることは無い。
初期からレートが出ていると乗り心地が固くなるイメージが有るかもしれないが、実際には逆で、大きく縮んだときにもバネレートが
上がらないので、実際の乗り心地はバネが柔らかくなった様なフィーリングである(オーリンズ標準のバネとの比較)。
とにかく奥が有るバネで、奥での底付き感が無い。
よって、他社バネから変える際には、少しバネレートを上げた方が良いかもしれない。
私も、もう1Kg程高くても良かったかな?と思っている。
 

副作用は価格が高いこと以外に特にない。 ハッキリ言って、素晴らしい!
後は好みの問題ですね。
あまりと褒めすぎると胡散臭いが、本当にいいバネだと思いますよ。

ハイパコとスプリング特性の話はまた至高のハンドリングを追い求めてかどこかに書く予定なので、インプレはこの辺で。

以上

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