OHLINS DFV 車高調(全長調整式)


これは、唯一、純正主義(チューニングポリシー)から外れた、メーカーとは違う方向の走行性能を求めた、社外パーツです。
もともとは、4万キロ程でダンパーがヘタって来て、キチンとダンピングをしてくれなくり、怖い挙動が出て来たので交換に踏み切ったものです。
サスペンションを交換するに当たり、純正の新品にするか、Modulo製にするか、社外品にするか、散々迷いました。
結果、色々考えて社外品を選びましたが、これは決して純正やModulo品が、走行性能で社外品に劣っていると考えているからではありません。

と言うのも、私は某ビデオで、「ガンさん」こと黒沢元治氏が、プロトタイプのドノーマルのS2000で、ニュル・ブルク・リンクを走る、
とんでもない映像を見てしまったからです。 そのドライビングは、とにかく、荷重変動が少なく、それにより修正蛇も殆ど無く綺麗。
初期型ノーマル脚の特徴としてよく言われる、ピーキーさや扱いにくさなど、微塵も感じさせない挙動でした。
(見れる人は、是非見てみることをお勧めします!)
あんな運転を見たら、初期型ノーマル脚はどうのこうのなどと、言い訳ができないと思いました。
(まあ、ヘタった脚と比べるのもおかしいですけど)

ですが、自分のドライビングスタイル、技術や好み、走行ステージ、O/Hが可能な事などを色々考えて、私はこちらを選んだと言う感じです。

前書きが長くなりましたが、それではインプレです。

F:10Kg/mm R:8Kg/mm ダウン量:25mm(推奨値)
吊るしの状態で使用。バネは、標準でアイバッハ製。


「初期から減衰を発生し、凹凸をDFV機構にて、いなして、跳ねない。」
と言う謳い文句に偽りなしと言った感じ。スローな微小ストロークでも、初期から減衰する感じである。
減衰力は20段調整だが、10段より柔らかくすると純正よりも突き上げが少なく乗り心地が良いと感じた。
昔のガチガチの車高調を下駄を履いている感覚とすると、これはソウルにゴムが付いた、スニーカーを履いている感覚と言った感じである。
ただ、減衰力を硬くすれば相当硬くなり、さすがに突き上げるし跳ねる。特に、低速時はもろに路面を拾う。
これは、サーキットなどのフラット路面向きであろう。
(しかし跳ねると言っても、性能の悪い車高調の、どっかに飛んでいく様な怖い跳ね方ではなく、安定感のある跳ね方である。)

また、このサスペンションに限ったことではないと思われるが、S2000は脚を固くすると接地感が非常に薄くなる。
減衰は固めの方が速いが、上級者向きかも。
逆に柔らかくし過ぎれば、フワフワで人によっては乗り心地が悪いと感じるほどである。
減速帯も全く問題ないし、かといってバネレートは高めなのでそこそこ粘る。
ただ、山のあるハイグリップタイヤでは、ある程度減衰力を硬くしないと、攻めてヨーが収束するとき、もしくはスライドするときに、
ロールのおつりを貰って、純正の脚のように怖いことがある。

ショックは、減衰力のワンクリックの変化が非常に大きいのが特徴。0.5クリックが欲しい時が有るほどである。
(ちなみに、16インチの純正サイズの、BS、RE-01Rだと、山があるときは、減衰は5〜7位、5部山以下では、6〜8位が、
ロールのおつりを貰わない最適値だと感じた。ただし、タイヤが十分に暖まった時。冬季はそれぞれ、もう1〜2クリックくらい柔らか目がいいと感じた。)

また、減衰特性は、最近のトレンドの通り縮み側に対して、伸び側が非常に大きくなっている。
初期型のS2000は、リアのバンプ時のトー変化(いわゆるバンプ・トー・イン)が異常と言えるほどに大きく、スライドした瞬間にバネとスタビの力で
トーが一気に戻り、それがピーキーさの原因の一つとなっていると思うが、この伸び側の減衰力の強さが、うまい具合にトーが戻るスピードを抑えて
くれて コントロール性を上げてくれる。 スライドコントロールが非常にしやすい特性である。

また、この脚の特徴の一つは、純正とは違い、フロントの方がリアよりもバネレートが高い特性である。
これにより、純正とはかなり違う操舵特性となる。
純正が、ブレーキングからターンインでオーバーステア方向、立ち上がりでフロントが逃げて、アンダーステア方向(もしくは、アンダーからくる、
ハンドルの切り足しによる唐突なリバース特性)なのに対し、ブレーキングからターンインでアンダー方向、立ち上がりでオーバーステア方向である。
なので、どちらかと言うとブレーキよりも、アクセルで曲げるタイプの脚である。
純正とは逆の挙動なので、慣れるまではスランプにはまった。

純正は、ブレーキで思い切り向きを変え、アクセルはリアのグリップを超えないように、限界を保ちつつ、直線的に立ち上がる運転に対し、
この脚は、ブレーキはロックが早く、ブレーキングポイントはかなり手前である。
またフロントのバネが硬いので、前荷重が作りにくく、ブレーキで向きを変えにくい。
よって、ハイスピードでコーナーにアクセルオンで入って、アクセルでコントロールをしながら向きを変え、後ろ下がりでトラクションをかけて立ち上がる、
と言った感じである。
ただ、この基本特性は、減衰力の前後の調整にてかなり変えることが可能である。
慣れれば非常にコントロールしやすく、楽しいし速い。
また、アルミ単等式のダンパーは放熱性がいいのか、ダンパーの熱ダレも純正よりも遥かに少ない。

このサスペンションは、一般人の女の子から、サーキットの草レースで優勝しているような人まで隣に乗せたが、皆が絶賛である。
個人的には、ラジアルタイヤでワインディングや山道などの一般道を走る限り、これ以上の物はない脚だと思われる。
日本では作れない味のある脚の一つであろう。
サーキットでSタイヤ等だと、また違った選択がいいのかもしれないが…。


欠点は、オーバーホール周期の短さ。(15,000Km〜20,000Km推奨)
まあ、性能を考えると仕方がないかと思うが、結構お金がかかる。
あと、しばらく乗っていると徐々に減衰が下がってきて、一度最強までネジを締めて戻すと戻る事がある。
振動などでネジが緩むのかも??
また、最大車高ダウン量が40mmなので、足りないと考える人もいるかも?
(逆に、最大に上げても標準プリロードだと、1Gで10mmダウンになってしまう)


追記: このインプレは、1年半以上前に書いたものなので、RE-01Rを装着した状態でのインプレとなっている。
このサスペンションは、RE-11との相性も凄く良い、と言うか、より良いと思う。(冬期の現在)
RE-11ではトレッドのヨレのお釣りを貰わないから、ステージによっては少し減衰力を落として、路面追従性を上げられる可能性がある。
また、ブレーキングも減衰力を落とした方が詰められる。
今は冬期なので、その辺りは、これから試す予定。
 

以上

購入はこちら

写真は、大分使い込んでから撮ったので、汚くて失礼!!

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