スバルの電子制御


さて話を戻しますが、ついに市販車のインプレッサに電子制御センターデフを搭載したC型のインプレッサですが、私は発売当時この車の購入を真剣に考えたことがあったので、ガチで試乗しました。
当時は一日試乗なんてのがあって、一日貸してくれたんですよ。 それでさんざん山道を(300Km程)走ってきました。

その結果出た私の結論は、「完成度が低すぎる」でした。
確かにオートモードは電子制御になっていました。 デフが自動でロックしたりフリーになったりしているのがよく分かります。
ただその変化が、あまりも唐突過ぎたのです。

それを一番感じたのがアクセルを踏んでいる時でした。
旋回途中のコントロールするアクセルのような状態でも、ブーストが掛かってトルクが上がる瞬間にセンターデフがいきなりロックして、急にミサイルのように真っ直ぐ行くのですから怖くて仕方がありませんでした。
しかもトルクステアも急に大きくなるのですからね。

じゃあアンダーステア特性で安定しているのかといえば、唐突にリアがリバースすることもあって、おっかなかったです。
つまり、非常に予見性の低い、電子制御の悪いところが目立つセッティングでしたかね。
アンダーステアなら、終始アンダーステアの方が遥かに運転しやすいですからね。
アクセルオンで四駆がオーバーステア出したらダメでしょう……、って思ったのを覚えています。

まあこれは、センターデフだけの問題ではなくリアにストラットサスペンションを使っているのも、ピーキーな理由だったでしょう。
(エボはリアがマルチリンクでFR並に凝っている。因みにインプレッサはGRBでマルチリンクになってトラクションが大幅に向上した)

ランエボZが一発目から完成度が高いACDを出してきたのに比べると、インプレッサは全体的に完成度の低さが否めませんでした。
 
まあどっかに書いた気もしますが、C型については正直がっかりして購入をやめ、詳しいインプレッションをレポート用紙5枚ほどにまとめて(笑)、ディーラーに提出したのを覚えています。
すると工場長が出てきて、「これはちょっと……。メーカーとのフィードバック会議を臨時に開くから、その時にこれ見せてもいいか?」なんて聞かれました。
(ハードディスクを探したらその時のファイルが見つかったので、一応ここに載せておきますね。 もう14年も前の文章ですが、 興味の有る方は読んでみてください。 試乗してこのくらい書くとメーカーにフィードバックしてもらえるかもです(笑))

ちなみにその次のD型ではかなりDCCDがアンダーステア方向に変更されていたのは、もしかしたら私にも責任があるかもしれません(笑)。
 
ただいい部分も有りました。 C型のインプレッサはセンターデフを手動にするととても運転しやすかったのです。
それも回頭重視のフリーではなく、トラクション重視のロックの方が私には運転しやすかったですかね。
GC8と違ってロックでも車庫入れやUターンが普通にできましたし(若干バキバキいいますが)、駆動系は大分壊れにくくなったようです。
また低重心のレイアウトからか、センターデフがロックでもアンダーステアは意外と弱めでした。 荷重が前寄りになる下りだけなら、この方がフィーリングが良いと感じるほどでしたかね。
インプレッサにはアクティブリアデフはありませんが、ランエボのACDをスノーモードにしたのにフィーリングは似ています。
 
ただ速さだけは素晴らしく向上し、インプレッサはまたランエボと対抗できる車に仕上がったのです。 まあ恐らく、センターデフだけでなく等長等爆になったエンジンのパワー向上やタイヤの変更(純正でRE070を初投入)なども大きいと思いますが……。
 

さて、何だか車の進化の歴史みたいな話になっちゃいましたが、こうしてセンターデフはやがて電子制御で拘束力を変化させるように進化してきたわけですね。

つまり四輪駆動車というのは構造上、電子制御との親和性がどうしても高くなるのです。
FFやFR車が、トラコンやVDCの様な制御しか入っていないのに対し、四駆が多くの制御を入れているのは、必要に迫られての事だったのでしょう。


続く……



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