2000円で古い日本車のハンドリングをBMWのハンドリングにする 序論
さて、少し間が空きましたがまた貧乏チューンのお話です(笑)。 でも貧乏チューンだと侮るなかれ、効果は抜群なのです。
今回の内容は、
接着剤を使った補強に続いてボディーの剛性アップ方法です。 実はこれは始めにトヨタ(TRD)が販売をしたものを自分でカスタマイズしたものです。
アルミテープチューンもそうですが、最近のトヨタは何というか、いい意味で攻めてますね。
今回の内容は、
”ドアスタビライザー”
です。 知らない方は検索して調べてみて下さいね。
これは見ての通り、車のドアとボディーの隙間を埋めるものです。 たったそれだけです。それだけで剛性が上がるのなら、凄いことですね。
そもそも車のシャシーというのは下図のようなものです。
図1 車のシャシードアが付いていないと、何というか空間だらけですよね。 こんな骨組みだけでは剛性を出すのは難しそうに見えます。
ここにドアが付けば空間が埋まってボディー剛性が上がりそうですが、実はそこに罠があるわけです。
はじめに言っておくと、
車のドアというのは結構丈夫に作られています。 材質は鉄だし、重たいし、更に側面衝突安全のために中にビームと呼ばれる丈夫な棒が通っていますしね。
ドアのヒンジ(蝶番)の部分も強く出来ているし、ドアが簡単に開かないようにストライカー(フック)部分も丈夫に作られています。
ドアを中から強く蹴っ飛ばしても、まあ壊れて開くことはないでしょう。 ドアを閉めると、それくらいドアとボディーはガッチリと強くくっついている訳ですね。
それだけ強くボディーにロックされていれば、さぞかしボディー剛性にも寄与していると思われますが、実は強くロックされているのは
ドアの開閉方向に対してだけなのですよ。
確かに開閉方向に対してはとても頑丈で、押し引きしてもガタツキなど一切ありませんよね。ですが実は、前後方向に対しては
隙間がガバガバなのです。
平均して、
10mm程は隙間があるのではないでしょうか?
車が走行中に加減速したり曲がったりするときには、ドアを開閉させる方向の力というのは殆ど掛かりません。
走行中のGが及ぼす力の殆どは、
ドア周りを歪める方向の力なのです。
(なのでドア周りのスポット増しが効果があるのですね)
つまり走行中のボディー剛性に関して言えば、
図1の状態で走っているのと全く同じなのですよ。
これはビックリですね。 逆にこれだけで剛性を出しているのが凄いとさえ思えます。
TRDのドアスタビライザーは、この
ガバガバの隙間を埋めてやることで、ドアをボディーの一部とし、剛性を上げてあげるという発想なわけです。 これは目からウロコと言うか、コロンブスの卵と言うべきか、さすがはトヨタと言った所でしょう。
ボディー剛性を上げるパーツ、いわゆる”ボディー補強バー”には色々なものがありますが、それらの全てが
重量増とのトレードオフとなります。 ロールケージの様な効果が高いものほどまた、重量も大きくなりますね。
そして車体に掛かる力は、
F = m a
なので、力は
車体の質量 × 加速度G となりましたね?
つまり補強しても車体の質量が増えれば、ボディーを曲げたり捻ったりする力も増えることになります。
もちろん、その歪みの増加量よりも剛性アップの効果の方が大きいため、プラスマイナスゼロにはならずにプラスとなるのでしょうが、まあ補強バーを付けると失うものもあるわけです。
それに対してドアスタビライザーの凄い所は、
重量増が全く無いところなのです。 既に車に付いている部品であり、しかも極めて強度が高い部品でありながら全く剛性に寄与していなかった”ドア”という部品に、剛性アップの仕事をさせるだけですからね。
なのでまさにコロンブスの卵なのですよ。(考えた人頭いいですね。)
このドアスタビライザーを付けると、
図1が
図2のようなイメージになるはずです。
図2 ドアスタビライザーを取り付けた時のモノコックボディのイメージ。オレンジ線が補強バーとして追加される。
ドアは棒ではなく頑丈な板だし、ヒンジは二箇所、ストライカーは一箇所なので
図2のような三角構造の補強になりそうですね。
これは単なる棒よりも効果が高そうです。
まあ序論はこんな所で、次に続きます……。
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