止めるためのアクセルを覚える
さて、
荷重曲げスピンの練習は進んでいますか?(笑)
まあ、そう簡単には出来ないと思いますが、これまた時間が無いので先の話をします。
フットブレーキによる荷重曲げで車を自由自在にスピン、つまり回転させられるようになったら、コースを走るためには当然その次の操作が必要となりますね。
今回書くのは、まずその次のステップ1です。
次のステップの操作とは、スピンしている車体を止める方法です。
車を荷重曲げで自在にスピンをさせられるようになったら、当然次に、適当な所でリアタイヤのスライドを止めてあげなければなりません。
どこで止めるかはコーナーの形やその先のコースレイアウト、スピード、あるいはその他の条件によりますが、基本的に行きたい方向に車体が向いた時が目安でしょう。
さて、それでは車体のスピンを止めるためにはどうしたら良いと思いますか??
ハンドルを戻す、カウンターステアを当てる、と考えた人もいるかな?
確かにハンドルを戻してもスピンは止まります。
しかしそれは、リアタイヤが滑っているので、
フロントタイヤも外側に逃がす事によりスピンはしないと言う物ですね。
よって、リアタイヤのスライドが戻らず、スピンはしなくとも
車体は外へ外へと平行に膨らみます。
まあ、スピン(回転)は止まりますが、
車体の横方向のスライドは止まらないと言った感じですかね。
それではここで、とっても重要な事を書きます。
FF車において、リアタイヤのスライドを止める最善の方法は、
「アクセルを踏むこと」です。
ちょっとここで、アクセルの話をしてみましょう。
私はアクセルの目的を、大きく5種類に分けて考えています。
ちょっと書いてみると、
1、 加速のためのアクセル
2、 リアタイヤをスライドさせるためのアクセル
3、 リアタイヤのスライドを止めるためのアクセル
4、 リアタイヤのスライドを継続させ続けるためのアクセル
5、 曲げるためのタイヤのグリップを上げるためのアクセル
とまあ、こんな感じです。
ちなみに、この5種類のアクセルは、後半に行くに従って難しくなると思います。
1はいいですね。 当然加速するにはアクセルを踏むでしょう。 車を運転する人ならば、誰でもやっている物ですね。
2は、普通のFF車には存在しません。
後輪駆動車専用ですね。 パワースライドを始める時などに使う物です。
4と5は、後でじっくり解説します。
今回使うのは、3のスライドを止めるためのアクセルです。
ここまで読んできた人ならば、アクセルを踏むと何故リアタイヤのスライドが止まるのか、理屈は簡単に分かりますよね?
今までの
スピンの練習のルールでは、ブレーキのリリース後は「アクセルペダルもブレーキペダルも踏まない事」、と言うルールでやっていましたね。
つまりこれは、エンジンブレーキ状態です。
エンジンブレーキと言えども、ブレーキですから減速している訳です。
減速していると言う事は、静止時と比べて、荷重は前輪に掛かって、後輪は抜けている事になりますね。
と言う事は、、、
後輪に荷重を掛けてやれば後輪のスライドは止まる方向に行くわけです。
そして後輪に荷重を掛ける手段はただ一つ。
「アクセルを踏むこと」でしたね。
特にFF車は後部が軽い上、リアタイヤは転がっているだけなので、殆ど仕事をせずにタイヤのグリップは沢山余っています。
そこで、リアタイヤに強い荷重を掛けてやると、一気にグリップしてスライドが止まります。
つまりこのFF車をスピンさせるのと、スピン(リアタイヤのスライド)を止めるのは、
前後の荷重移動だけで出来てしまうわけです。
何とも簡単な理屈ですね。
一言で言うとFF車は
、
「ブレーキでリアタイヤをスライドさせて、アクセルでスライドを止めるのが基本」
です。
細かいテクニックは色々ありますが、これが基本だと理解しておいてください。
ちなみにハンドルについては、一定の舵角で構いません。 つまり、スピンさせる時に切ったら、同じ舵角で切りっぱなしです。
それでもアクセルを踏めば、スライドは止まります。
(もちろんアクセルを踏んでいるので車自体は止まりませんから(縦方向には進む)、これは間違えないように。)
が、アクセルの踏み具合によって、スライドの止まり方は異なります。
練習に勧めた様な多くの車では、かなり大きめにガバッとアクセルを踏むと止まると思います。
まずは、アクセルだけで完全に止める練習をしてみて下さい。
そして、アクセルを踏んでもスライドが止まらなければ、始めて次にハンドルを少し戻します。
もしもそれでもスライドや、スピン挙動が止まらなければ、
アクセルオンのタイミングが遅すぎです。
FF車では、ゼロカウンターや、逆ハンドルを切るようなケースは完全に失敗で、失速します。
そうならないように、確実にアクセルで止める練習をして下さい。
そのためのコツは、早め早めに次の
操作のモーションに入って置く事ですね。
例えば、オートマ車やターボ車など、アクセルを踏んでから実際に駆動力が出るまでにタイムラグが有る車は、それを計算して早めにアクセルを踏む必要が有ります。 これはちょっと慣れないと難しいですね。
練習に勧めた車で、NAのマニュアル車が楽だと書いたのは、これが理由です。
ちなみに私の場合は、ブレーキリリースから舵を入れて、アクセルオンまでは基本的にワンアクションで行います。
ただ始めは、それぞれの操作の挙動を分かりやすくするために、キッチリ分けて行った方が良いでしょう。
別にミスっても練習なので全然オッケーですから。
ちなみにこの練習は、通常の運転時でも、予期せぬパニックブレーキやタックイン等で、リアタイヤがスライドしてスピン挙動になった時に、スピンを免れるためにも約に立ちます。
特に初級者は、スピン挙動になるとパニクッて、アクセルを戻してしまいがちです。
それでは、余計にリアの荷重が抜けてスピンします。
FF車で、リアタイヤがスライドしてスピン挙動になったら、素早くアクセルオンです。
これは事故防止のためにも、役に立つ技術なので体に染み込ませておくと良いでしょう。
「ブレーキによる荷重曲げでリアタイヤを滑らせて、アクセルオンで止める」
とにかくひたすらこの練習を繰り返せば、確実に運転技術が上達します。 もちろん、速く走るための技術もです。
ここまで出来るようになれば、
コーナリング技術の70%はマスターしたと考えて良いでしょう。
今回の練習は、FF車が最も練習しやすいし、上達も早いのでお勧めですが、他の駆動方式、つまり後輪が駆動している車しか無い場合でも、同じ練習をしてみると良いでしょう。
ただ後輪が駆動している車は、アクセルで止める時にパワースライドしてしまわないような、アクセルのコントロール技術が必要となりますね。
キッチリとアクセルオンで止めるように心がけて、練習してみて下さい。
他の駆動方式については、また改めて詳しく書きます。
この練習をマスターし、ブレーキとハンドルとアクセルによる荷重移動だけで、車のヨー(スピン挙動)を自由自在に作ったり止めたりする事が出来る様になれば、コーナリング技術の基礎は大体出来たと考えて良いでしょう。
是非頑張って、練習してください!!(笑)
続く…。
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