この本は、かなり読み込んでお世話になった物です。
専門実験器具を使った実験の話が多く出てくるので、そこは一般人には真似出来ないですが、それ以外の理論の話はその気になれば自分でも、計算、再現できます。
実際に
私は、足を変える前にシミュレーション計算をする際に、この本の式を使わせてもらいました。
その時に、インテRの純正足のダンパーの減衰力のセッティングが、いかに絶妙な味付けになっているかを、計算したグラフを見て関心したのを覚えています。
ただ、物理や数学が得意じゃない人は、かなり「その気」にならないと、理解して計算、再現するのは難しいでしょう。
もしも買う人は、通販では買わずに、必ず手に取って見てから買う事をお勧めします(笑)。
ちなみに以下のページは、ここで書いたロール剛性配分と操舵特性の説明の一部です。
ここには、「FR車はリアが駆動輪なので、リアのグリップが駆動力によって減るため、フロントのロール剛性配分を高めてアンダーステア方向にしてある」、というような話が書いてあります。
まあ、一理ある気がしますね。
ただ結論だけ言うと、実際の車の操舵特性は、そんなに単純な話にはなりません。
さて、OHLINSの車高調は後ろよりも前のバネレートが高いので、この理屈で言うと前のロール剛性の方が高くなり、純正足よりも、アンダーステア方向に行くはずですね。
それでは早速、運転してみました。
まず普通に走っていると、車高が下がって純正の様な腰高感が無くなり、長く回り込んだ高速コーナーもロールが減って安定し、何ともアクセルを踏んで行ける、スタビリティーの高いフィーリングです。
おまけに
乗り心地も純正より上と言えるほどです。
ところが、一たび少し速く走ろうと攻め込むと、それまでの私の運転スタイルが全く通用しません!
まず第一に、ブレーキが効かない!!
ブレーキングが生命線だった私にとって、これは致命的です。
この話は、サスペンションとブレーキ性能の関係と、市販車のブレーキチューニングについて考えるに詳しく書いてありますが、車高を下げたり足を固めると
ピッチングが減り、前に荷重が乗りにくいので、ただでさえフロントタイヤのロックが早まります。
更に、OHLINSの前のバネレートが高い(純正の倍以上)セッテシングは、より前荷重を作り難くします。
よって、今までの「親のカタキー」の様なブレーキングで、思いっきり突っ込んで前荷重を作り、パキンと向きを変えて出来る限り直線的に立ち上がるといった、FF車からずっとやっていた運転方法は全く通用しません。
フルブレーキを踏むと、ノーズダイブを殆どせずにズルズルっとABSが介入してロックして止まらず、更に前荷重にもなりにくいので、ターンインでハンドルを切ってもあまり向きが変わってくれません。
よって、ブレーキングからターンインに関して言えば、ロール剛性配分の理論は当たっていて、フロントのバネレートの方が高いOHLINSの車高調は、確かにアンダーステア傾向になっている気がします。
続く…。