F20Cの正しい慣らし運転のやり方とは?


さて、そろそろAP1のエンジンをO/Hしたり、載せ換えたりする人も増えて来る頃かもしれません。
そこで、今回はエンジンの慣らし運転の方法についてちょっと書いてみます。

始めに、最近のエンジンは慣らし運転なんて必要ないという話も良く聞きますが、それは大体正しいです。
しかしながらF20Cは、最近のエンジンとしては、慣らし運転をしないと本来の性能が出なくなったり、オイル減りが激しいエンジンになったりする、希少な?エンジンです。
実際に、車のマニュアルにも慣らし運転をするように書いてありますね。
回転数指定はしていませんが、始めの1000Kmは負荷を掛けないようにと書いてあります。
よって、エンジンの寿命を縮めたくない人や、性能がキッチリと出るエンジンにしたい人は、慣らし運転は必ずした方が良いでしょう。

では、早速慣らし運転の方法について書いてみましょうか。

その前に、Spoonエンジンのインプレに書いたように、エンジンの慣らしは、出来ればラッピング(エンジンベンチでの慣らし)をするのが一番です。
車にエンジンを搭載した状態でいくら上手くやっても、ラッピングには勝てません。
(余談ですが、メーカー(本田技研)からエンジンAssyを買うと、既に火が入っていて、回した跡が付いています。おそらくテストのためだと思いますが、あらかじめエンジンベンチで回してあるのでしょう。ラッピングまでやっておいてくれると助かるんですけどねぇ(笑)。)

ラッピングをするのにいくら掛かるのかは知りませんが、自分で慣らし運転をやると、オイル代、ガソリン代、タイヤ代、ブレーキパッド、ローター代。高速道路を使う人は、高速代。
これらは確実にかかります。 水温計と、負圧計は付いていることが前提で、常にタコメータを見ながら走らなければならないし、エンジンブレーキは一切禁止なので、必然的にブレーキパッドが良く減ります。
それらの金額と手間を考えると、よっぽど高くない限りラッピングをした方が良いでしょう。
更に、これも書いた通り、ラッピングをした方が、エンジンの性能も軽くチューニングしたかと思うほど、良く出ます。

が、実際にはあまりラッピングする人は居ないようですねぇ。
なかなかやってくれるお店も無かったりすると思います。ディーラーではまず無理ですしね。
そこで、どうやればラッピングをしたエンジンに近いエンジンにできるのか、その慣らし運転方法を書いてみます。

まず始めに、ラッピングが何故良いのかを知る事が大事ですね。
ラッピングは、大体1000Km相当の距離をやるらしいです。エンジンベンチで、一晩回しといたりするらしいですね。
ラッピングの良い所は、完全に一定の回転数、一定の負荷、一定の水温で長時間出来る所です。
F20Cの後の人生?は、この始めの1000Kmでかなり決まると言って良いでしょう。

いわゆるエンジンの「当たり」は、大体この位の距離で綺麗に付くらしいです。
それではラッピングしたエンジンを目指して、実際の走行方法を書いてみましょう。

まず、回転数は、4000〜5500回転で固定。インマニの圧力は吸気管圧力計で、300〜400mmHgになるアクセル開度(計器が付いていない人は、大体1/5から1/4位のアクセル開度)。
登り坂は負荷が掛かるので禁止で、平地を一定負荷で走るように。
また、水温は低すぎても高すぎてもだめで、84度ぴったりを出来る限りキープするように。
特に、ローテンプサーモなどを入れて80度を切るような状態は良くないので、80度は切らないように注意が必要です。
ヒーターや段ボールを使って、上手く調整しましょう。
そして、エンジンブレーキは、ピストンリングへの負荷が逆方向に掛かるし、元々エンジンブレーキはエンジンに良くないので、慣らし運転中は禁物です。
面倒ですが減速する時は、すぐにクラッチを切りましょう。

またエンジンオイルですが、慣らし中は頻繁に代えるので、安い物でいいと考えるかもしれませんが、実は始めに入れるオイルが非常に大事です。 当たりが付いてない状態では、クリアランスが正確でないので、オイルの潤滑性能が非常に重要です。
ここはケチらずに、いいオイルを入れましょう。
そして、始めはスラッジ(金属粉)が多く出るので、オイルフィルターはオイルと同時に毎回交換するように。
始めのオイル交換は、500〜700Kmが理想らしいです。

そして、慣らし運転で一番重要な事は、一言で言うと「一発でやること」です。
一度エンジンに熱を入れたら、すぐに冷ましたりせずに、熱が入って各部が膨張して、エンジンの各部のクリアランスが一定の状態で、一気に長距離を走ることです。
毎日少しずつというのはダメです。 あまり頻繁にエンジンを暖めたり冷ましたりを繰り返すと、綺麗に当たりが付きません。

一定回転、一定負荷、減速をしない一定速度、一定水温、そして長距離を一発で走るとなると、実質高速道路を使用するしかないと思います。それも、道が空いている時ですね。
東名高速道路で、東京〜大阪を夜中に1往復して来る、何て言うのは良く聞きますね。
距離的にも、ちょうどいい具合です。
ここまでやれば、ラッピングに近い、エンジンの慣らしが可能でしょう。
ただ、、、面倒くさいですね(笑)。

エンジンの慣らし運転の方法については、プロの中でも人それぞれ考えの違いが有るみたいですが、始めの1000Kmに限って言えば、上記の方法で大体意見は一致しています。


次に、1000Km以降は、私が色んな人の意見を聞いて、考えたやり方となります。

1000Kmを超えたら、オイルとオイルフィルターを交換して、少しずつ回転数を上げていきます。
大体、500Kmごとに1000回転くらいが目安でしょう。
VTECがハイカムに切り替わる慣らしも必要ですから、あまり低回転でばかり走っていてもだめです。
1000Km以降は、積極的にハイカムに入れていきます。

ただ、慣らしが終わる3000Kmまでは、8000回転を超えないようにした方がいいでしょう。
ここでも、アクセル開度は一定で、負荷を掛けないのと、エンジンブレーキを使わない事は重要です。
もちろん、水温も一定にするように。

ただ負荷は、始めの1000Km程神経質になる必要はないと思います。坂も登って大丈夫でしょう。
回転数は、あまり低回転で走るのは良くないでしょう。
始めの1000Kmもそうですが、3500回転以下でのシフトアップはしない方がいいでしょう。
出来れば、3000回転を切らない運転がいいと思います。
エンジンは低回転の時に負荷が掛かると、ピストンのサイドフォース(側圧)が長時間シリンダーにかかるので、非常にエンジンを痛めます。

後は、アクセル開度と、水温と、エンジンブレーキだけ気を付けて、普通に少しずつ回転数を上げていく運転をすれば、良いでしょう。
キッチリと1000Kmごとにオイルとオイルフィルターを交換して、3000Kmで取り敢えず終了です。

慣らしが終わったら、嬉しくていきなり、「トリャー、全開で9000回転じゃー!」と行きたい所ですが、とりあえずもう500Km位はオイルの量や汚れをマメに見ながら、 高負荷は避け、回転数も8500回転以下位に抑えておいた方がいいと思います。
だんだんエンジンに当たりが付いてくると、体感で判って来ます。パワー感が出てきますから。

そして、3000Kmの慣らしが終わり、エンジンに問題が無ければ、たまには高回転まで回しましょう。
これは別途どこかに書く予定ですが、エンジンに変な癖がつく前に、初期のうちに高回転まで回さないと、回らない、パワーの出ないエンジンになってしまいます。
これは、プラグがかぶるとか言うレベルでなく、またエンジンをバラして、部品を交換して組み直さないと治らないレベルです。

他のエンジンでも(ホンダ以外でも)基本的に皆そうですが、F20Cは特にその傾向が強いエンジンです。
これはディーラーの人に聞いた話ですが、同じ走行距離のS2000を5台用意しても、それぞれの慣らし運転の仕方や、初期に高回転まで回しているか等の違いで、確実に1番から5番まで、エンジンのランキングを付けられるほど大きく変わるらしいです。


それでは是非、自分のエンジンを「当たりエンジン」にしてください!!

以上

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