図1 単発のコーナー
図2 S字コーナー
始めの図1は、単発のコーナーです。 これはセオリー通りにブレーキを踏んで減速すれば良いので、比較的簡単ですね。
せっかく減速するためにブレーキを踏むのだから、ついでに向きを変えちゃえば良い訳です。
そして図2のS字コーナーですが、これはちょっと難しいですねぇ。 一個目の右コーナーが終わると、すかさずきつい左コーナーです。
助走をつける直線距離が有りません。
しかし、赤から緑に変化する場所では、車を大きく回転させる必要が有ります。
ただ、ここはスピードが乗っていないので、出来る限りスピードは落とさずに車の回転だけをさせたい訳です。
本来ならば、車の姿勢さえ作れていれば、減速しないで曲がれるコーナーですからね。
例えばこのような時に、今まで練習してきた「低い速度で」スピンさせたり、荷重で曲げたり、はたまたスライドを継続させたりする技術が生きてきます。
それらが出来れば、最小限の減速で、車の向きだけを大きく変える事が出来るはずです。
それではちょっと、資料映像を見てみましょうか。
ちなみにこれは、大分昔に私が初めて自分の運転を撮った物ですかねぇ。 よって、一番古い映像です。
それまでは、運転を撮るという発想が無かったので…。
友人に、「外から撮らせてくれ」って頼まれて、途中で友人を降ろして一本走った物です(笑)。
車は初期型のストリーム。 ディーラーの代車なので、当然フルノーマルです(タイヤも15インチの、BS Sneaker)。
まあこのストリームって車は、私が根本的にドライビングスタイルを変えるきっかけになった車なんですがぁ…。
ストリームによるS字走行映像
このセクションは、ちょうど図2の様なS字です。
ちょっとド迫力な映像になってしまっていますが、注目はスキール音ではなく(笑)、左に車体を曲げる時(図2で言うと、赤い所)のブレーキランプが点いている時間の短さです。
映像の5秒の辺りですね。
ここで、右の壁に赤いブレーキランプが反射する時間を見てみて下さい。 非常に短いですよね?
私がブレーキを踏んでいる時間は、大体こんな物です。
これが曲げるために、しかたなく踏むブレーキです。
ブレーキの踏み方は、かなり短く、また強めに踏んでいます。
ある程度強く踏まないと、操舵のタイミングがドンピシャ決まっても、リアタイヤは滑ってくれませんからね。
ただブレーキング後の車体の向きの変わり方が速く、スピードもあまり落ちていないと思います。
スキール音は減速帯が有るのであまり綺麗じゃないですが、音は殆ど一定ですね。
(ドップラー効果で、カメラの前を通る前後で音程が変わっていますけど)
コーナリング中には、
アンダーステアは全く出ず、またリアタイヤのグリップもしっかり使っています。
今までの練習を、実際にコースの走りに生かすとこんな感じですかね。
まあこの走りは、前に書いた「車のコントロールゾーン」に入っちゃっているので、ストリームでもぶっちゃけかなり速いです。
実際に、ハイグリップタイヤ(BS
RE-01R)を履いた、GTウィング付きのライトチューンのS2000と走り比べてみましたが、このセクションだけならストリームの方が速い位です。
まあ私がS2000を運転しちゃうと、FRでもストリームと殆ど同じ走りになっちゃうので、S2000の方がさすがに少し速いですが、スペックを考えるとその差はわずかです。
(FRの運転の仕方については後ほど詳しく書きますが、FFよりもある意味簡単です。)
ちなみに、この車で、この速度で、このセクションを抜けるためには、従来のリアタイヤを完全にグリップさせる走り方では、まず無理だと思います。
図2の赤いポイントの様な苦しいラインでは、リアタイヤを滑らせなければ、まず確実にアクセルオンでアンダーステアが出ます。
アンダーステアが出れば早くアクセルを踏めないし、踏めても駆動輪であるフロントタイヤのスリップアングルが大きくなり、ステアリングブレーキ(後述)が効いてしまって、結果的にあまり速度が伸びません。
更にアンダーステアを出しながらアクセルを踏んでいくような運転をすると、フロントタイヤのショルダー部が、「あっ」という間に削れて無くなります。
そしてショルダーが削れて同じ運手をして行くと、走っていてどんどん曲がらなくなります。
余談ですが私は、タイヤのショルダーは、ミスった時などいざという時に助けてくれる、「保険の様なもの」だと考えています。
よって大事に取っておいて、普段からここを使うような運転をしない事が重要です。
(前にも書きましたが、アンーダーステアが出るから、フロントタイヤだけ太くしたり、グリップの高いタイヤを付けたり、規定値以上のキャンバーを付けるのは、姿勢が作れずにアンダーが出ているのにコジリ回す癖がつくので、やめた方が良いでしょう。)
ちなみに映像の私の運転では、図2の緑の手前の位置からアクセルはほぼ全開にしています。
ハンドルも切り足していませんし、アンダーステアは全く出ていません。
それは、図2の赤い位置で車体を回転させて姿勢を作っているからこそ、なせる物です。
今までの荷重曲げでスピンさせる練習、アクセルでスピンを止める練習、そしてスライドを続けるアクセルの練習をマスターして応用すれば、キッチリ車体を回転させて姿勢を作って、アンダーステアを出さずに、且つ早くアクセルをオンにしてコーナーをクリア出来るようになります。
ただ念のためにここでも書いておきますが、上記の練習をマスターする前にストリームの走りを真似しないで下さいね。
私の運転は、自分の車ではないのもありますが、確実に100発100中で決まるよう相当マージンを取っています。
続く…。