700円でスポット増しをする (リア施工インプレッション)


さて、そんなわけで後ろのドア周りも施工してみました。
結果は以下の通りです。
 

1,かなり後ろ上がりの車高のようなフィーフィングに変化。

2,リア廻りのきしみ音の消失。

3,スライド時に接地感が抜けることがなくなった。 欧州車の挙動のように足の指を強くしたようなフィーリングで、スライドコントロール性抜群。

4,コーナリング速度も向上。 リアのスライドが維持しやすくなった。

5,ターンインでオーバーステア方向に。 全体的にリアが出やすい特性になった。

6,後ろ上がりのフィーリングやリアの突き上げが増えたことから、リアタイヤの空気圧を下げたくなった。


 
詳細と考察:

については、びっくりするくらい後ろ上がりのフィーリングに変化しすぎて、ちょっと「やっちまったか」と思ったほどでした。
何だか前につんのめりながら運転しているようなフィーリングです。 でも今までが前上がりだったので、余計そう感じたのでしょうね。 ノーマルサスペンションなので、取り敢えずは後ろの空気圧を下げようと考えました。
 
は余談になりますけど、リア廻りからキシミ音がすることがあったのが消えました。
具体的な箇所や原因はわかりませんが、まあ剛性が上がったために今まで動いていた所が動かなくなったのでしょう。
 
については、私が最も求めていた変化でした。
このインプレは荷重曲げからスライド状態に行くときに、リアタイヤの荷重をアクセルで戻してスライド状態を維持するまでの短時間の間の話になります。 でもここは、車をコントロールするにあたり最も重要な瞬間でもありますからね。

施工前は、リアの荷重を抜いてヨーが立ち上がって、アクセルでリアに荷重を戻したときに一瞬タイヤが引っかかるようなフィーリングでグリップをし、そこからロールをしてロールしきったところで「ズバッ」とは行かないにしても、一瞬インフォーメーションがなくなった状態で横に滑る微少時間がありました。
そしてそれから安定したスライド状態に移行する、というようなステップでしたかね。
ですがその微小時間の横滑り量が予測不能で、一瞬の恐怖感があってなかなか攻めきれなかったわけです。
それが施工後は、このインフォーメーションがなくなる瞬間がほぼ消えました。

これを少し物理的に言うなら一瞬、タイヤが静止摩擦係数になり、そこからリアの外輪荷重が抜けたような怖い横滑りを一瞬してから動摩擦係数による安定感のあるスライド状態になっていたのが、とてもシームレス(継ぎ目のない、連続的)にスライドするようになったと言えるでしょうか。
まあ、ロールだけしてタイヤが引っかかる瞬間がなくなって、ロールにシンクロしてタイヤがゆっくり滑るようになったとも言えるし、完全にベッタリとグリップをする瞬間が消えたとも言えるでしょうか。 とにかく、グリップとスライドの境が滑らかになったフィーリングです。 これらは、ヘタったダンパーを新品に変えたときに感じるものと近いでしょう。
またスライドが戻るときのロールのお釣りの“ボヨン感”も減少した気がします。
(ちなみに分かりやすいロールのお釣りのボヨン感は、こちらの20秒〜付近参照。 音量に注意)

ちなみに私の知る限り、殆ど全ての欧州車はこのコントロール性を持っていました。
私はよく車のサスペンションを人間の足に例えるのですが、日本車のサスペンションは太ももの力が強いフィーフィングです。
対する欧州車のサスペンションは、足の指先の力が強いフィーフィングです。って、わかりにくいか(笑)。

簡単に言うと、欧州車は微少ストローク時のスライドコントロール性がとても高いのですよ。
欧州車は少しロールしたところでとても穏やかにタイヤが滑り始めます。 逆に日本車は、限界までロールして一気にズバッと滑るフィーリングでしょうか。
でもそれはサスペンションの違いだけではなく、実はボディー剛性の違いもあったのかもしれませんね。
今回の実験でそんな事がわかったのは大きな収穫でした。
まあこのあたりのフィーリングを全て言葉で説明するのは難しいのですが、上手く伝わったでしょうかね?
 

4、5について。 今度はグリップではなく、どちらかと言うとスライドさせて速く走る挙動になりましたかね。
前だけ施工のときはグリップ走行時にアクセルオンでオーバーステア方向でしたけど、今度はターンイン時にオーバーステア方向でアクセルオンでトラクションが掛かる方向、まあアンダーステア方向とも言えるでしょうか。

このあたりは今回の施工がどうというよりも、前後の剛性バランスの理論通りと言えます。
ただ未施工時と比べると、グリップ走行時にハンドルを切ってアクセルオンした時にも曲がりやすくなっていると思います。
別の言葉で言えば全体的に小さいRを描くとも言えるでしょうか。
よってグリップ走行のみだとしても全く悪くはなく、フロントだけ施工した時とどちらが良いかは好みの範疇でしょうね。
フロントだけ施工した時にはノーズが内側にグイグイ入っていくフィーリングで、前後に施工したときは車全体の姿勢が内側に向いているフィーリングです。 実際に後輪が少し外側を通っているかもしれませんね。
 

について。 ボディーが硬くなったぶん、突き上げ感が少し増しました。
突き上げ感というのはフロントの剛性よりもリアの剛性の方が影響が大きいため(サスペンションの硬さも同様)、これはリアの施工をしてから感じましたかね。
そんなわけで、後ろ上がりなフィーリングだったこともあって、リアタイヤの空気圧を0.2程下げました。(もともと既定値よりも0.3程高めだったのですが)
そして結局前とのバランスを取るために、フロントのドア周りの施工を更に追加しました(後述)。
するとなかなか良いバランスになってくれました。
後ろ上がり車高感がだいぶ解消されて、高いコントロール性はそのままにハンドリング特性がニュートラルに近づきました。
 
以下は、主にフロントの追加施工&空気圧を下げた後のインプレです。
 

7,タイヤの高いスキール音成分が減り、全体的にスキール音が低音方向に変化した。 タイヤの性能を使い切れてる感じで、グリップが上がっている。 特にフロント部がそう感じる。

8,高速安定性の向上。
 
についは、面白い変化ですね。
スライド時のスキール音の音質が低音寄りに変化しました。 接地面積が増えて、そこに荷重がキッチリ掛かっているフィーリングです。 当然ながら、発生するグリップも上がりました。
そして未施工時とフロントのみ施工時にあったリアのスライドがフロントよりもワンテンポ遅れてくる、車体の真ん中でネジレているようなフィーリングがなくなりました。
実際にネジレ剛性が上がっているのでしょう。 ホイールベースが短くなって車体が一体感ある塊になったイメージです。
 
については文字通り。
直進時はスタビリティーが向上しているフィーリングで、運転していて疲れにくくなりましたかね。
走行中のバタバタ感と言うか、ガタガタ感が減ってソリッドになりました。 これは高速域でより顕著に感じます。
タイヤの剛性感まで上がったフィーフィングで、とにかく操舵時のレスポンスが良くなりました。
ブレーキング時にもAピラーがエンジンルームに向かって沈み込で行くようなフィーリングが消えて、カチッとしています。

またタイヤの剛性感とは相反する話のようですが、スタッドレスタイヤに変えると施工前よりもタイヤのヨレやタワミを強く感じます。 ボディーが硬くなったぶん、相対的にタイヤの変形のインフォーメーションが良く伝わるようになったのだと思います。
夏タイヤでも通常走行時は剛性が上がったようなフィーリングですが、攻め込むとタイヤのタワミのインフォーメーションは上がっていた気がします。 これはドラテクを磨くためにもプラスになるでしょうね。
 
 
以上、施工のインプレはこんな感じですが、私にとっては悪い方向の変化は特にありませんでした。
少し飽きてきていた車のフィーリングがバージョンアップしたような気分で、運転していてとても楽しくなりました。
剛性アップというのはともすれば地味ですけど、車の根本的な乗り味を変えてくれます。
そう、サスペンションの動きまで、です。


総評して、、、
たかが市販の瞬間接着剤で思っていた以上の効果が得られて驚いています。
これで持ちさえ良ければ、私個人的には特にスポット増しをしたいとは思いませんかね。
私の乗り方ならばこれで十分です。

では具体的な施工方法に続く……。(と言っても、とても簡単ですが)


Back        Top