スライドを続けるためのアクセルを学ぶ(理論編)
さてさて、
スピンと、
スピンを止める練習は進んでいるでしょうか??
ちょっと間が空きましたが、
とりあえず、次のステップに行きます。
さて、今回解説する練習は、いよいよゴールに近づいてきています。
今までの練習が、コーナーの入り口区間のための物だったのに対し、今回の練習は
旋回区間全体のための練習です。
後に詳しく書きますが、この練習の目的は速い速度で旋回区間を走ること、つまり
速くコーナリングする事です。
更にこの技術は、
立ち上がりで最大の速度と加速を得ることもできます。
少し難しいですが、マスターすれば非常に強力な武器になります。
もし極められれば、FF車でミッドシップ車にもコーナリング速度で負けないようになる事も、有るでしょう。
ちなみに、、、車のコーナリング速度を上げるためにはどうしたら良いでしょうか?
きっと速い速度でコーナーに入って行って、早いタイミングでアクセルを全開に出来れば速く曲がれそうですね。
って、そんなことは当たり前ですが、それが出来ないから苦労するわけです(笑)。
今までに書いた通り、特にFF車においては、それが難しいですね。
高速でコーナーに入ると、確実に重たいフロントが外に膨らんで、アクセルなんて中々全開に出来ません。
それどころか、前輪が駆動しているのでアクセルを少しでも踏めば、リアタイヤに対してフロントタイヤの横グリップが負けるので、余計にフロントが外に膨らみます。
結局FF車でのコーナリングは、スピードが落ちて車体の向きが舵を切った、行きたい方向に変わってから、やっと少しずつアクセルを踏む事が出来るようになりますね。
つまりブレーキもアクセルも踏まずに、車の向きが変わるまでハンドルを切っている、
「待ち」の時間がべらぼうに長いわけです。
一般にFF車はコーナリング速度が遅いと言われるのは、まあこの辺が原因でしょう。
そこでコーナリング速度を上げるために、今回の、
「スライドを続けるためのアクセル」と言うのが重要になってきます。
(ちなみに今回は、FF車限定の話をします)
これは
止めるためのアクセルを覚えるに書いた、5種類有るアクセルのうちの4番目の物ですね。
今までの操作は、ブレーキングによる前荷重で車体をスピンさせて、次にアクセルでスピンを止めるという物でしたね。
今回の操作は、その中間にあるものです。
つまり、
スピンさせず、かといってリアタイヤのスライドを完全には止めず、といったものです。
詳しく手順を言うと、まず始めに荷重曲げでスピン挙動を作り、その後アクセルオンでスピンは止めるけれど、リアタイヤのスライドは継続させる運転ということになります。
この運転は、リアタイヤが滑り続けることにより、フロントが向きを変え続けている状態を作るものです。
つまり、
車体の自転を止めてしまわないわけですね。
正直、こいつはFF車では少し難しいです(笑)。
それでは、詳しい練習内容について説明してみましょう。
止めるためのアクセルを覚えるに、スピン挙動になったFF車は、アクセルオンで止めると書きましたね。
理屈は、アクセルを踏むと荷重がリアタイヤに乗るので、リアタイヤがグリップして、スライドが止まるという物でした。
しかし今回の話は、アクセルオンでリアタイヤをスライドさせ続けると言う物で、前回の話とムジュンするような気がしますかね。
散々アクセルを踏めば、スピンやスライドが止まると書きましたからね(笑)。
前回書いた事は、もちろん間違いではありません。
リアタイヤがスライドした時にアクセルを踏めば、普通はリアタイヤのスライドは止まります。
ただ実はその先に、
アクセルオンでもリアタイヤのスライドを継続させる方法が有るのです。
それではこの、「スライドを継続させるアクセル」の技術と、「スライドを止めるためのアクセル」の技術との違いについて説明してみましょう。
まず、コーナーの入り口で、ブレーキングによる前荷重でリアタイヤを滑らせて車体を回転させるところまではどちらも同じです。
逆にこれが出来なければ、どちらの技術も使えません。
(先にこっちをマスターしてくださいね)
アクセルを踏めばスライドが止まる理由は、抜けていたリアタイヤに荷重が掛かるからでしたね?
しかし、もしリアタイヤに荷重が十分に掛かる前に、強い力で前輪が車体を引っ張ったらどうなるでしょうか?
リアタイヤがスライド中の車では、リアタイヤの荷重が抜けているだけでなく、リアタイヤには大きな
スリップアングルが付いています。 スピン挙動になっているので、これは当たり前ですね。
もしもリアタイヤが真横に滑ってスピンすれば、スリップアングルは90度ですね。
そして、
スリップアングルを意識するに書いた通り、タイヤには最適なスリップアングルがあり、それは15度〜20度位でしたね。
これはフロントタイヤだけでなく、リアタイヤにも当てはまります。
よってリアタイヤが、最大のグリップ(摩擦力)を発揮するスリップアングルを大きく通り過ぎた所で、強い力で引っ張られれば、例え荷重が掛かってもグリップが戻らない事が有るのです。
更にまだリアタイヤに荷重が掛かる前だったら、よりアクセルオンで滑らせやすいですね。
また、リアタイヤは元々スライド状態だったので、タイヤの摩擦係数は、静止摩擦係数ではなく、動摩擦係数の状態です。
タイヤのグリップを最大に出すにはに書いた通り、動摩擦係数は、静止摩擦係数よりもずっと小さくなります。
タイヤは滑らせた方がグリップするには、タイヤを滑らせた方がグリップすると書きましたが、それは縦方向の話で横方向のグリップは落ちましたね。
タイヤは滑らせた方がグリップするの、グラフの通りです。
FF車のリアタイヤは、縦方向は転がっているだけで、アクセルオンの時にも駆動力は一切掛かっていません。
つまり、滑らせるとグリップは落ちる一方です。
今回は、逆にこれを利用してやるわけです。
まとめると、
荷重曲げによるスピンでリアタイヤが滑り、大きなスリップアングルが付いている時に、前輪に強く引っ張られると、動摩擦係数が小さい効果とスリップアングルが大き過ぎる事によるダブルの効果で、リアタイヤのグリップ(摩擦力)が小さくなって、アクセルオンでリアタイヤのスライドを継続させる事が出来る
、のです。
つまり、アクセルオンで車体を回転(
自転)させ続ける事が出来るわけですね。
ちょっと難しいですかね?
でも今までの話を読めば、理屈はそれほど難しくない事が分かると思います。
それでは理論はこの辺にして、実際のやり方のコツを書いてみます。
続く…。
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